モノトーンの世界

われわれ人間の目に見えるものは、おおむね色を持っていますが、一旦色がなくなると、人は神経を研ぎ澄まし、明暗の変化から想像力を高め、その意味合いを探り出そうとします。

モノトーンの写真や映画を見ると、色や音がないぶん、表情や背景、細部がとても気になります。さらに、読書(文章)となると、視聴覚の要素は排除されるので、想像力はより高まり、脳が活性化しているようにも感じます。

世の中、さまざまな物事が、どんどん便利になって、想像力を働かさなくても、正確で客観的な情報が舞い込んでくるようになりました。映像と音とキャッチフレーズで、思考を支配されてしまう恐怖感すら覚えることがあります。時代に適応すればするほどに、不十分な情報しかない不便な状況では、適応力が鈍ってしまうのではないだろうかと、不安に陥ってしまいます。

安易に、便利さに身をゆだねるのではなく、意識的に情報を制約し、想像力を働かせ、適応力を高めるモノトーンの世界感。今、とても大切にしたいことの一つです。

説田